2011-01-01から1年間の記事一覧

語り得ぬものと語られること ―真理・他者・相対主義・世界―

本稿の目標は、野矢茂樹『語りえぬものを語る』(以下『語る』と略記)と入不二基義『「語りえぬものを語る」で語られないこと』(以下『語られない』と略記)の批判的検討を通して、相対主義の問題における哲学的混乱を解消することである。 私見によれば、…

『語りえぬものを示す』1における『哲学探究』解釈およびその他の批判

本稿では、永井均『語りえぬものを示す』(以下『示す』と略記)1と『私・今・そして神』(以下『神』と略記)第3章の議論を比較参照しつつ、その不整合な点や誤謬の解消を試みる。 猶、本稿は『示す』1~3の議論については論じない。その野矢批判は真っ当な…

<私>の形而上学を解消する ―《私》の文法的構成と<私>なる錯誤―

始めに言っておくと、私は永井哲学における二つの支柱―<私>の形而上学と「私」の生成論―は互いに独立であり、各々個別的に検討されるべきだと考えている。私には両者とも多くの不整合と混乱を抱えているように見えるが、今回は特に前者を検討しつつ、文法…